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茶色それとも紫色

昔、百貨店の婦人服売り場で洋服を販売していたことがあります。
ヤングミセスを対象とした、甘めのラインにリボンやレースを上品にデザインしたものが売りの雑誌などにも掲載されているブランドでした。そこに、ある時ひとりの高齢の女性がいらっしゃいました。

お店の中をのぞき込んでいらっしゃるようでしたので、「何か、お探しのものはございますか?」と声をかけました。するとカーディガンを探してるの」とおっしゃいます。
あまり装飾のないものをお見せしてから、「少しお待ちくださいね」と、お隣のブランドへ走って行き、「お客様がカーディガンを探してらっしゃるのですけれど、お願いできますか?」と声をかけました。そこの方はにっこりとうなづいてくれたので、お客様をお連れし、お客さまもにっこり、私もにっこり、みんなにっこりだったのです。

 しばらくして、「どうされたかなあ」とお隣に行ってみると、もう、お客様の姿はありませんでした。「先ほどの方、どうでしたか?」と聞いてみると、不機嫌そうな顔で、「まったく、話にならないの。」「紫のことを茶色っていうんだから、お家の人と一緒に来て下さい」と言って帰したというのです。
そこで何があったかはわかりませんし、実際どのような言い方をしたのかもわかりませんが、その人が言い放った言葉からなんともいえない冷たさに胸が痛くなったことを覚えています。
それは、小豆色にも、海老茶のようにも見える紫とも茶色とも区別がつかないような色でした。誰でも歳をとれば身体の機能や体力が衰えますが、目の機能も衰え色の識別もしにくくなるのでなおさら色の見分けがつかなかったのでしょう。
特に、「青」に関する感度は鈍くなってきます。

高齢でなくても、黒と濃紺の違いがわかりづらかった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
白内障という症状もでてきます。
白内障は、紫外線の影響による原因が大きいとされ、紫外線が目に入ることで、水晶体(レンズ)が白濁化、黄変化してしまい、物や色が鮮明に見えなくなることです。
ちょうど、見ているものに黄色いセロファンを1枚かけたような見え方になります。
高齢になると、白内障の手術をされる方はめずらしくありませんが、これは,じょじょに蓄積されてゆくものであり、40歳代であれば、誰もが関与し始めているのですから、他人ごとではなく気をつけなくてはなりません。
写真は、セーターの半分に黄色いセロファンをかけてみました。
紫系の色も黄みが増すと、茶系に見えてきますよね。
高齢の女性はせっかく、ひとりで買い物に来たのに、淋しい気持ちで帰られたのではないでしょうか。
ちょっとの知識があれば、「もう少し人にも優しくなれる」そう思いませんか?

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